・『志摩市磯部町五知の薬師堂にある、同じ頃円空によって作られたと思われる薬師如来像と日光・月光菩薩像も面白い。この三体の仏像は荒々しい彫りで、実に素朴で力強い。』と梅原猛さんは自身の著書「歓喜する円空」(新潮文庫)のなかで語っておられます。その円空仏が次の写真です。
・円空は江戸前期の僧で、全国に円空仏と呼ばれる独特の木彫仏を生涯に12万体も彫ったと言われています。寛永9年(1632)に美濃国(現・岐阜県羽島市)で生まれ、元禄8年(1695)に没しました。
・今回小生はお伊勢参りの途中、この薬師堂にお参りしてまいりました。三重県観光連盟のご配慮で薬師堂の守り人を知り、ご案内頂くことに。ほんとうに親切にして頂きました。感謝に堪えません。(写真撮影はご許可頂いています。)
⇓薬師堂から見た磯部町五知の全景
・古来より、「お伊勢参らば朝熊をかけよ、朝熊かけねば片参り」と言ったそうで、五知は、朝熊岳詣で(金剛證寺)の街道筋(伊勢街道)でした。円空も朝熊詣でのため五知に立ち寄り、村に逗留、村人のために薬師三尊像を彫ったと伝えられています。
⇓薬師堂にあった円空作・薬師三尊像のいわれ。
⇓小雨にけむる五知の棚田。
⇓梅原猛さんが五知をたずねられた際に揮毫された色紙。
⇓梅原猛著「歓喜する円空」新潮文庫(平成21年7月1日新潮社発行)